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視聴者を引きつける魅力が満載!「風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~」ヒットの理由

5月24日より日本初放送となる「風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~」。中国でTVとWebで同時放送され、ゴールデンタイム放送のTVドラマ視聴率ランキング20日間1位(全国視聴率/CSM調べ)、TVドラマのWeb再生指数ランキング1位(VLinkage調べ)を記録した大ヒット作。そのヒットの理由というべき見どころとは? 近年の中国時代劇のトレンドと照らし合わせながら作品の魅力をライターの小酒真由子氏が徹底解説!

 

理由1:繁栄を誇った唐の歴史とフィクションのハイブリッド作

「風起花抄」の舞台は、中国史の中でも繁栄を誇った唐の時代。この時代には世界各地から使節や商人が首都・長安に集まり、国際色のある豊かな文化が花開き、経済も発展した。そんな唐代を舞台にしたドラマには華やかな大作が多く、ぜいたくな宮廷生活を再現して歴史人物を描く「-武則天(ぶそくてん)-The Empress-」「麗王別姫~花散る永遠の愛~」や、国際都市・長安でテロとの攻防戦が繰り広げられるカウントダウン・サスペンス「長安二十四時」といった作品が大ヒットしている。

さらに、唐代ドラマといえば、シルクロード貿易によって商人たちが躍進していく時代の町娘と皇子の恋を描く冒険ロマンス「万華楼〈ばんかろう〉~金糸が紡ぐ運命の恋~」、山賊が正体を隠して名門校へ通う学園ラブコメ「若葉の詩(うた)~青青子衿~」など、庶民にスポットを当てたフィクション度の高い娯楽作も少なくない。主人公が宮中の医官と町の衣装店の娘という懸け離れた二つの身分で活躍する「風起花抄」は、唐の時代を描いた“華やかな大作”でありつつ“フィクションの面白さ”も兼ね備えていることが、ヒットの理由といえるだろう。


©2021 China International Television Corporation All Rights Reserved

 

理由2:視聴者の共感を呼ぶ、女性が主人公の歴史ストーリー

中国でもドラマの視聴者層は女性の比率が高いため、現代女性が共感できるヒロインが主人公の時代劇が大人気。また、ヒットコンテンツのマルチメディア化が進む中国では人気小説のドラマ化が多く、史実にフィクションを盛り込み新たな解釈で歴史を面白く描き出すドラマが次々と生まれている。人気小説「大唐明月」が原作の「風起花抄」も、主人公は自立心のある勇敢な女性。どんな逆境も乗り越えていくヒロインが母親の死の真相を追い求めながら冒険していく、想像力豊かな歴史ストーリーが進行する。

なお、本作のヒロインは女官から裴行倹(はいこうけん)の妻となった庫狄(こてき)氏という実在の歴史人物がモデル。裴行倹(はいこうけん)は西域で活躍した名将として歴史に残る人物だが、裴行倹(はいこうけん)庫狄(こてき)氏もこれまでほとんど映画やドラマで取り上げられたことがなく、この2人を巡るストーリーは中国の歴史ファンからも大いに注目された。ちなみに、庫狄(こてき)氏はなぜか裴行倹(はいこうけん)と同じ墓には入っていないことが分かっている。そのため、庫狄(こてき)氏は裴行倹(はいこうけん)の早逝した息子の妻で、名義上だけ裴行倹(はいこうけん)の妻だったとする説を唱える歴史家もいる。


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理由3:中国時代劇では王道の設定!? 男装するヒロイン

「風起花抄」のヒロインは宮中では男性のふりをし、男装して医官を務めているという設定。中国時代劇ではこのように男装ヒロインが登場する作品は非常に多い。というのも、中国では男装した女性が学問を学び悲恋を体験する「梁山伯(りょうざんぱく)祝英台(しゅくえいだい)」といった古来の説話や、戦場で活躍したという男装の女将軍・花木蘭(ムーラン)の伝説が有名。しかも、唐代には実際に女性の男装が流行していた記録もあるというから驚きだ。

なお、作り手の側からすれば、男装ヒロインという設定は女性視点で物語が進められるという点で有用だ。古代は現代と違って女性の権利や行動が制限されている。しかし、ヒロインが男性のふりをすれば男性にしかなれない職業を務めたり、自由に外に出て活動の場を広げたりすることができるからだ。「風起花抄」もこうした工夫により、女性視点から躍動感のあるスケールの大きなストーリーが描かれていく。


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理由4:武則天(ぶそくてん)も登場! 主人公を取り巻く人間味のある歴史人物たち

唐代に中国史上唯一の女帝にまで上り詰めた武則天(ぶそくてん)(則天武后)は、ドラマのテーマになりやすい人物。彼女が登場する作品は、ここ20年の中国で30本以上作られている。「風起花抄」は第2代皇帝・李世民(りせいみん)太宗(たいそう))の治世を描いているので、もちろん武則天(ぶそくてん)も登場する。ただし、本作では彼女が脇役としてヒロインを助けていく存在となるのがポイントだ。

武則天(ぶそくてん)は日本でも“中国三大悪女”の1人と称されネガティブなイメージがあったが、時代の流れとともにポジティブなイメージへと変化。中国時代劇の中でも「武則天(ぶそくてん)-The Empress-」に代表されるように、政治家としての手腕や功績が評価される傾向が見られるようになってきた。「風起花抄」の武則天(ぶそくてん)も聡明で人間味があり、誰もが共感を覚えるような人物。彼女と第3代皇帝となる李治(りち)高宗(こうそう))との関係もロマンチックにつづられ、志は高いものの果断さに欠ける李治(りち)武則天(ぶそくてん)がバックアップしていく頼もしい姿を見ることができる。


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理由5:綿密な時代考証に基づいたきらびやかな文化の再現

世界的に見ても時代劇ドラマが非常に多く制作されている中国では、目の肥えた視聴者が多い。そのため、時代劇大作となれば衣装や小道具にもしっかりと予算がつぎ込まれ、職人たちの手により丁寧に当時のアイテムが制作される。それは「風起花抄」も同様で、ヒロインの母親から受け継いだ刺しゅうの技能がテーマの一つでもある本作は、唐代に皇族たちが好んだ精緻な刺しゅうも美しく再現されている。

また、中国時代劇は当時の礼儀作法の再現にも気を配っていて、撮影現場には専門家が呼ばれスタッフ・キャストを指導するのが一般的。「風起花抄」にも、当時の宮廷における儀礼や婚儀などを詳細に描写したシーンが登場する。さらに、劇中には書道において草書に長けた人物だったとされる裴行倹(はいこうけん)が筆を振るうシーンや、有名な古典や詩が引用されるエピソードもあり、随所でさまざまな唐の文化を味わうことができる。


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文・小酒真由子

 

『風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~』
 番組ページ:https://www.ch-ginga.jp/feature/fukikasho/
【放送日時】5月24日(火)スタート(月 - 金)夜11:00 - 深夜0:00
【リピート】5月25日(水)スタート(月 - 金)午前9:30 - 午前10:30

 

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